ブルー!ブルー!ブルー!
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ブルー!ブルー!ブルー!

アマミヤ

ゆらりきらめく夏の恋

ネタバレ
2025年2月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大学生の桔平×旅館の跡取り真澄の織りなす恋物語。
といっても、桔平が真澄の旅館にひと夏の間住み込みで働き始めた頃はまだ桔平には恋人がおり、真澄には忘れられない想い人がいたので、漠然とした「この人いいな」とか人としての好意は持っていてもそれ以上踏み込むことはなかった。ところが桔平の恋人の浮気現場に2人揃って遭遇してしまったその日から乾いたスポンジが水を吸い込むように桔平は真澄に惹かれてゆき、正直に気持ちを伝えるのですが…
あまりの急転直下な告白に真澄も「切り替え早すぎ」とこぼしたようにたしかに変わり身の早さが気になるところではあります。けれども、桔平も真澄ももともと同性愛に抵抗がないこと、お互いを憎からず思っていること、そして桔平の不敵かつ距離感に配慮した熱い想いがハイビームのように真澄に届き、晴れて2人は恋人同士となるわけです。通じ合ったその瞬間も胸の高鳴りを分かち合うのみでいちいち言葉にしないところがまたにくい…他にはない言葉選びや感情に即した表情、臨場感あふれるやりとり(桔平の目と真澄のタバコの持ち方がすき)からアマミヤ先生の光るセンスが伺えます。
知的で隙のない真澄だけれど、社会的地位もなければ金もないほぼ人柄だけで生きているような若者から素直に学べる柔軟性が素晴らしかった。桔平の言葉に倣い、叶わぬ恋に静かに折り合いをつけるくだりにはじんわりと目頭が熱くなりました。そもそも桔平が真澄の匂いを好ましく思った時点で遺伝子的にも相性が良いと判明しているので、変に年上風を吹かせず桔平を選んでくれてほんとうに良かった。
そんな具合に恋愛モードが高まったところで本編はきれいに幕を閉じてしまうのですが、ご安心あれ。求めるものは単話のafterstoryにすべて詰まっています。
すっっごくよかった…ニヤニヤが止まりません。
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