兄の元カレとする恋は【電子単行本版/限定特典まんが付き】
斧原ヨーコ
わけありチャラ男と大学生の救済ラブby帯
ネタバレ
このレビューはネタバレを含みます▼
初斧原先生。良かった…BLに人生やドラマを求めるタイプにはたまらない作品だと思います。
元恋人の死、その弟との出会い(この出会いが互いの救済に関わってくる)、同性愛=病気認定する親、「普通」の人生を選ぶ意味、自分のセクシャリティといかに向き合うかなどなど…それなりに深刻なテーマをはらんでいるのに思いの外さっくりと読めるのは先生の上手いところ。
ただ、ほぼ地雷のないわたしでもタチである藤森の両親はダメでした。親心の皮を被った支配体質…彼らのように同性愛を病気認定するキャラは他作品でもたまに見かけますが、疑いようもなく自分たちはまともで相手がおかしいとする傲慢な根性に辟易とします。まあそれも、長い目で見れば藤森と英里の愛の肥やしにされてしまうのですが……兄の化身かのような蝶の演出は泣けるしエチもラブもすごく自然で展開としては素敵(踏切を挟んで向かい合うシーンはトレンディドラマのよう)なのに、どうにもそっちの方が気になっちゃってw
とにかく藤森には親の魔の手から全力で英里と逃げてもらって、兄ちゃんとは別の意味で愛し合うがよろしいよと素直に願えるよいカップルでした。
素直といえば、英里が身も心も素直な性格でよかったー。ポロッと吐いた弱音の感じだと、藤森は自己肯定感がバリ高に見えるだけの反動形成(本来の感情とは逆の表出、表現をする)だとおもうので…ワンナイトには向かない愛情深さを持っているのに無理しちゃって…英里も言葉にできない色々をそういう藤森に救われたわけだけれど、藤森は英里に出会わなかったら虚飾の人生に潰されていたんじゃないかな?
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