このレビューはネタバレを含みます▼
BL作品なのですが、なんだかFEELYOUNGにでも連載されていそうなサクセスストーリーだな?と作者検索をしたら、まんま女性ジャンルでご活躍されている作者さまでした。
才能あふれるバレエ男子高校生七央とその家庭教師・澤の、十数年に及ぶ切ない恋の物語。
付き合う相手をとっかえひっかえしながらも澤の献身に胡座をかき続ける奔放な七央は、まるで希代のプレイボーイと謳われたカサノヴァのよう。そんな彼が、12年の時を経てまさか純愛に目覚めるなんて……
失って気づいた澤への想い。再会後、あの不遜で捉えどころのなかったカサノヴァが脇目も振らず澤に情熱をぶちまける一途な姿は、それまでの不誠実が帳消しになるほどに感動的です。
それよりも七央に振り回され続けた澤の報われなさを嘆く声が多く聞こえてきそうですが、澤は澤でその都度自分なりの決断をし納得した上で七央を支えていたのでそこはイーブンでしょう。おまけに出会った当初は高校生と大学生だったのだから、快楽に重きを置くばかりでいろいろと自覚も覚悟もできない未熟さがあっても仕方がない。
あれやこれやで二度と交わることはないだろうと思われた2人でしたが、大人になってつのる想いを曝け出した途端、今度は二度と外れないくらいにピッタリとハマるなんてね…
こうして長い年月をかけて自分だけの星(アステリスク)を手に入れた七央と澤。互いしか映らない綺麗なそのお目目にこちらの心が浄化される、なんとも素敵な作品でした。