このレビューはネタバレを含みます▼
訳ありイケボの元警察官と同じく壮絶な過去を背負ったイケメンスリ師の、恋と笑いとハードボイルドが融合したクールでトリッキーなサイバー犯罪捕物BL。ちるちるを含めなぜこんなに評価が低いのかわからないくらい面白かったのだけど、もしかしたら親しみのないサイバー色がひとり歩きしているからかもしれません…が、終始踊る大捜○線のような身内ノリで中和された飽きのこない内容です。
しかしあの、由緒正しい無菌BL『ルームメイト』の作者さまだとは思えないほどのダーティでお下品なキャラ設定には度肝を抜かれました。彼らの仕事が仕事だけにミッションインポッシブルみたいなハイテクグッズも登場するのですが、腸の振動で鼓膜にアクセスする穴ルイヤホンというBL発想には驚いた。
けれどもおどけたその背景にはただならぬ因縁が見え隠れしていて、たとえば奪われる一方だった里中が奪う側(スリ)に堕ち込み自分を見失ってしまうのも仕方ないと思えるほどのストーリー性があったりします。それはチームメイトのヨルや何かと頑なな加藤も然り。誰も彼もが事情を抱え欺き合い、なんとかチームとしての絆が盤石になる2巻エンディングでやっと加藤の恋が動き出すようなギリギリ具合なので、最後は猛スピードで駆け抜けていく感じがちょっと寂しい。それでも、ブレーキランプで〇〇のサインじゃないけれど、刺さる人にはすごくキュンとするおしゃれで技ありなハッピーエンドだと思いました。
ところでタイトルにある何がギリギリアウトなのかって、野良となった加藤を中心に結成された特別捜査班としての仕事が犯罪ギリギリのラインだという意味みたいです。里中になかなか落ちない加藤への色仕掛けもいろいろとギリギリアウトでしたが…
恋人エチは少ないけれど修正は緩め。一貫して加藤命で愛に生きる里中ですが、捨て鉢だったBッチの時期は加藤以外に憩いを求めたりしているので、そこだけは地雷ご注意です(わたしとしてはご馳走様でした)。