私はシンデレラに殺された
」のレビュー

私はシンデレラに殺された

楠木薫

壮絶な転生の物語。

ネタバレ
2025年4月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 正に壮絶なループ人生の物語。シンデレラの義姉であるシャーロットは、国王暗殺の冤罪をかけられ処刑される。何度も何度も。苦しい死から死に戻り、ループする間に、彼女は事件の真相に近付いて行く。あっさり2巻で終わるのかな、と思っていたら。2巻、怒涛の畳みかけでゾワゾワが止まりません!!そして事件解決か?と思われたクライマックスに来て、これでもか、とまたループするという息詰まる展開!あー!シャーロット何回死ぬのー?!ハラハラドキドキ。結局、シンデレラの策謀とは。よくある毒親モノだったりもするんだけど。(あるある過ぎてちょっと引く。)亡き母親の野望を自らが王妃になる事で叶えようとした、だけ。その為に血生臭い事をここまでやってしまうのか。ラストにはただシンデレラは愛されたかっただけ、なんて。生ぬるい救済があったりするものの。狂っていた事だけは確か、なんだよなぁ。まぁ、この物語に「シンデレラ」と銘打って関心を引きたかったのは分かるけど、ハッと気付けば必ずしも「シンデレラ」である必要は無かったのかも。だって義姉はシンデレラをまず虐めても無いしね。ガラスの靴を無理矢理履く事もしない。やたらと心理的に追い詰めて来たのはシンデレラの方だったりするし。なんて、読後冷静になってしまうと悶々としてしまうけども。とりあえず怒涛のシャーロットの死に戻り人生に手に汗握ったのは確か。作者の強引なまでの手腕にただひれ伏すのみ。シャーロットが真相に近付いて行く途中で、恋仲になって行くオーウェンが王族に連なるとは言え、「王子様」では無いのも良い。最初の人生でシャーロットに処刑執行をしたものの、次の人生も、その次の人生も。シャーロットの助けとなって行く。そして、彼女を信じて生きるオーウェンがついに「戻って来た!」と、シャーロットの数奇な人生を秒で信じるまでになるとこなんて激アツです。それに原作シンデレラでも、最初の人生でも、物語冒頭で死ぬ父が、そして母親も。ずっと家族想いなのが良い。それはシャーロットが文字通り命をかけて守り切ったもの。
あと、絵がとにかく怖かったー。表紙も怖いけど、シンデレラ怖すぎる。絵の怖さもこの物語の寓話的な内容にピッタリでした。
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