このレビューはネタバレを含みます▼
電子書籍によってはBLに分類されていたり(シーモアは青年漫画に分類されています)、テレビでもBLと紹介されていたので捉え方は人それぞれと思いますが、個人的には青年漫画でBL要素もあるという風に捉えました。
BL漫画だと当然男同士の恋愛がメインなのですが、本作品はそれだけではなく、人の心?生き方?のようなもっと抽象的な何かが伝わってくるような感じがしました。
1回目読み終わった時、感動したしよかったとも思いましたが、何かモヤモヤするような、『?』となるところがたくさんあってよくわからなかったです。ですが、2,3回目と読み返してみると、この時こう思ったのかもしれないとか、ここはこういうことを言ってるんじゃないかなといった考えがどんどん浮かんできて、より感動できました理解も深まったような気がします。
※ここから先はネタバレなので注意※
淀井君の死について、この作品を読んだ人全員が考えたと思います。私は自〇に近い事故だったのではないかなと思いました。
淀井君は当初から自傷癖があって、自分のことをあまり大切にしていないようなところが随所で見られます。
村瀬君が自分のことを好きだと知って、それなら一緒に気持ちいいことしようと言ったのも、助けてあげたいっていう気持ちはありつつも、ある意味では自傷行為の一つではないかと思いました。
淀井君の転校を知ったとして、おそらく村瀬君は耐えられたんじゃないかと思います。
今でこそスマホやインターネットが普及しているので転校したからといってそこまで距離を感じにくくなっていると思いますが、この作品の時代ではそういったものがなく、また中学生という年齢で気軽に会いにいくこともおそらく難しく、物理的な距離がそのまま心の距離と直結してしまいそうな状態で、淀井君がどう思ったのかを考えた時に、村瀬君の心の中から自分がいつか消えてしまうくらいなら、何とかして村瀬君の心に残るような何かを残したいと思ったのではないかと思いました。
でも淀井君が本気でそう思ったのであれば、村瀬君の目の前で実践しそうな気がするので、やっぱり事故なのかな…と、色々と考えてしまいます。
正解があるのかはわかりませんが、この作品を読んで、考えて、消化することが、本作の楽しみ方ではないかと思います。
それをするのに十分すぎるくらい満足感のある作品でした。