紙の舟で眠る【単行本版】
」のレビュー

紙の舟で眠る【単行本版】

八田てき

圧倒的画力で読ませる濃密な作品。

ネタバレ
2025年4月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 圧倒的画力故に物凄くリアルに伝わって来て、最初はホラー要素が強いのかと思ってしまいました。

あるトラウマにより筆を折った脚本家憬が出会った憬のミューズのような燿一。
燿一に出会ったことで再び筆を取る憬。
しかし憬を襲う謎の呪縛が何度も憬を苦しめる。
これはもしかしたら前作と同じエンドなのかと恐れつつ、戦後の雰囲気溢れる緻密で薄暗い背景を追って行きました。

予想外の結末には心底ほっとしました。
複雑に入り組んだ心理描写等が難しいお話で漫画に表現するのは先生の画力でも大変だったのではと思います。
読んでいてこれ程仄暗くじっとりとした不安を覚える作品は他にないと思いました。
だからこそ全て解決した時の喜びが大きかった作品でもあります。

生半可な気持ちでは読めないと思う作品に初めて出会いました。自分としては珍しく読み返す気が起きなかったので星4としました。
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