8月31日のロングサマー
」のレビュー

8月31日のロングサマー

伊藤一角

進まない日、進むふたり

ネタバレ
2025年5月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 綺麗な表紙を見て、「ハートカクテル」のパロ…もとい、オマージュ?と惹きつけられ、無料分を読んだら面白すぎて止めらなくなり7巻まで一気に購入。
夏休み最後の31日を繰り返してしまうSF的な話なのかとおもいきや、クセ強めの鈴木君と自然体の高木さんの凄く凄く真面目で慎重な純愛物語。かつ、めちゃくちゃ面白い。
ループという繰り返しが、笑いのネタの天丼のように、なんか可笑しい。1ページの「やあ」という高木さんと陰キャ男子ぽい鈴木君の立ち姿の繰り返しが妙に癖になる。
定点カメラでとらえたような同じ構図の静かなコマが続いて、その後にがっと動きのある言葉やオチの来る描き方も私的にはツボで好きです。
初巻の方では鈴木君のギターテクやバイク姿とか、振り幅強めの笑いがあったのですが、巻が進むにつれだんだん大人しくなってきちゃったのか物足りないかな。恋するとまともになって行くという事でしょうか。
鈴木君はThe男子校生という感じがリアルで、悪意がない所真面目エロな所、根が優しくて本当にいい。
男子校イズムというのかな、赤羽根君とか宇田くんとの友情も最高。
高木さんも同性から見ても可愛いくて何より自然。キモっって(笑)言っちゃうところとか。ちょっと天邪鬼なところ、それを自覚してる所とか。
男性漫画家さんの描く女性って理想が入るのか、身体の見た目も性格もこれ居ないだろ〜っていうのが多い中、高木さんは物凄く親近感あってリアルです。
2人が無邪気かつ譲歩し合い、少しづつ相手を知り、自分を知っていく恋する青春が、終わらない夏の日の中に進んでいきます。ギャグ漫画だけには括れない、読んでて、ギャハハと笑った次には胸にグッとくる、そんな切ない恋愛物語です。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!