魔導具師ダリヤはうつむかない~Dahliya Wilts No More~
住川惠/甘岸久弥/景
このレビューはネタバレを含みます▼
異世界で現代にあった便利道具を試行錯誤しながら再現して作っていくお話。現代では当たり前にあった物を、異世界にしかない技術と素材で再現していく過程は、無理のない設定範囲で違和感なく楽しめる。
このお話のコンセプトは題名にある通り、主人公がうつむかず前に進んでいく成長なんだと思うけど…やたら貸し借りの概念が強い。施しを受けたくないくせに、施しをしたがる主人公…最終的には"じゃあ借りって事で"って収めるけど、その流れが若干しつこく感じる。
あとこれが1番のマイナスポイントなんですが、「月が綺麗ですね=好きです」みたいな、裏の意味がある貴族特有の言い回しが多すぎる。この物語限定の言い回しなので、そういう言葉や行動が出る度にキャラクターに指摘されたり、ページを使っての説明があったりで、正直クドい。庶民と貴族の文化が違うみたいなのが欲しいのなら、所作等のマナー程度でも良かったのでは?読者からすると、えー!さっきの言葉にそんな意味が?!みたいな驚きや焦り等は別に感じないので、その度に読者が置いてけぼりになっている感がある。なのに話が進むにつれ、その流れが増えに増えていて素直に物語を楽しめなくなってきている。
惰性で買うようになる前に、トビアスと揉めてる辺りくらいのカロリーに戻ってくれる事を願う…
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