このレビューはネタバレを含みます▼
少年時代のトラウマを抱えて、結婚は絶対にしないと宣言している侯爵がヒーロー、実業家の父亡き後、継母に家を追い出され、職も失い、少年の振りをして生きる道を探そうとしていた元令嬢がヒロイン。
倒れているところをヒーローに救われ、素性を知られて、今度結婚する母親を安心させる為に、婚約者の振りをするように頼まれる。
ヒーローはトラウマを抱えているので、ヒロインに頑なに心を閉ざし遠ざけようとします。
物腰は柔らかいものの、生真面目で、傲慢なところがあります。
ヒロインも継母に対する暗い思いを解消できずにいるのですが、それぞれ自分の心の闇と向き合い変わってゆきます。
水島さん作品のヒーローは大抵トラウマを抱えた傲慢な男性ですが、今回のヒーローは、こんな事でよいのかと躊躇したり、本当に自分は駄目なのかと自問したりと、人間味があり、なんとなくヒロインに受け入れられてトラウマを乗り越えちゃった~というようなお話でないところが新鮮で、お話が深みを増したように感じました。
ヒロインと継母の事も、うやむやにならずにほっとしました。
ヒーローのセリフも甘くて良いですね~。
読者としても、今まで読んできた作品でもやっとしていた部分が解消された、とても楽しめる内容になっていると思います。
シンデレラストーリーがお好きな方にぜひオススメしたいです。
イラストの方は、あまり好みでないというか、現代的だなと思いました。