このレビューはネタバレを含みます▼
令嬢だったけど、父の死後、叔母に引き取られてからメイド扱いされてきたヒロイン、ヒロインの家の馬番で、ヒロインの父の逆鱗に触れて屋敷を追い出され、いろいろあって伯爵になったヒーロー。
身分逆転ものです。
今までの不幸は全てヒロインのせいだと、逆恨みし、復讐の為、自分の家のメイドにします。
水島さんの作品の中でも、かなり酷い方のヒーローで、すぐ切れるし、嫉妬深くて、執着するし、もちろん傲慢。
冷たい態度を取りつつも、綺麗なドレスを着せて、贅沢な暮らしをさせてくれるヒーローは割と多かったと思うのですが、こちらのヒーローは、日中はヒロインをメイドとしてこき使い、夜は自分のベッドに連れ込みます。
仕立て屋を呼んで、ヒロインの寸法を測らせた時、何着かドレスを作ってくれるんじゃないかな?と期待したのですが、メイド服しか作らせませんでした。
プレゼントなんて最後にちょこっとです。
また、人前で平気で罵り、周囲の人から守ってくれません。
ヒロインは、伯爵の愛人と蔑まれ、元令嬢と知っている人からは憐れまれ、孤立無援の中、次第に心を閉ざして、追い詰められてゆくように見えました。(私視点です)
一番酷いと思ったのが、裸マントで馬に乗せた場面で、とても官能的とは思えず、どん引きしました。
ヒーローを愛してるというよりは、自分に関わってくれる人がヒーローしかいないので、縋ってしまっているような感じ…。
どんなに酷い事をされても、好きだから~と許してしまいます。
ってどう見てもDV被害者です。ありがとうございました。
ヒーローの親戚が声をかけてくれた時には、アンジェリン逃げてー超逃げてーと思いました。
全然甘さがなく、こういうお話を受け付けない方には、読んでいられないかもしれません。
がしかし、そこがまた良いのですね~。
何度も涙しながら読みました。
私は結構好きなお話です。
ラストは、こんなハッピーエンドでいいのか?とちょっと疑問。
ヒロインが許しても周囲の人は許さないでしょう。
叔母さんの事もそうですが、あとがきでの説明でなく、本編に盛り込んで欲しかったです。
イラストは、ヒロインが可愛すぎてちょっとどうかな~と思いました。
苦労を重ねてきたので、もっと憂いのある表情が見たかったです。