アバウト ア ラブソング【単行本版】
」のレビュー

アバウト ア ラブソング【単行本版】

夏野寛子

丁寧な心理描写と絵が描かれてます

ネタバレ
2025年6月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 赤坂で、にハマりすぎて覚えるほど読んでしまい、こちらの作品に触手を。赤坂で、とは違い崖っぷち28歳バンドマン×かわいい高校3年生男子の、手を取ってはいけないラブソングの物語。

バンドマン星名は、同じバイトの瀬戸くんに癒される日々。ところがひょんなことから手を出してしまい、事後、彼が高校生だと知ります!同意の上とは言え犯罪(?)と歳の差に戸惑う星名。一方、瀬戸くんは進路に悩んでいる話を真剣に聞いてくれて、胸に響くアドバイスをくれた星名に真剣になってしまい⋯⋯。
星名も煩悩と戦いながら、自分をずるいと言いつつ、ずるい大人にならないように考え続け、できたラブソングを瀬戸くんに送るのですが。

このラブソングがエモい!「手を振りほどくことが愛」!これがしかも赤坂で、の「昼のゆめ」のテーマソング!こんな曲、実際にあったらジーンと来てしまうなぁと思っていたらこの曲が爆売れ。瀬戸くんは、星名からの別れの歌と受け取り、日々、ふたりの距離は遠ざかっていくのです。教室でも聴こえる星名の歌声に、瀬戸くんは星名が手に届かない存在になっていくと感じて、卒業式を迎え⋯⋯。

終始、瀬戸くんに手を出すことに躊躇う星名。彼には瀬戸くんがピュアで汚したらいけない存在。好きだけど、手を取らないのが彼なりの愛。言葉をひとつひとつ選んで、誠実に瀬戸くんの若さに向き合う姿に好感。大体、瀬戸くんこそずるい。若さでキラキラが溢れてて、体当たりで星名に猛烈アピール。そこで揺らぎそうになりつつ踏ん張る「頑なな」星名の愛の深さに感服です。

Hが見たい方には小冊子をお勧め。本編は出しかけた手を引っ込める大人の愛の物語なので。

それから、この物語はひとコマひとコマが、凄く丁寧に描かれていて、夏野先生にとっても特別な作品なんじゃないかなと勝手に思いました。絵が本当に美しいです。そこも堪能していただきたいです。

ちなみに引っ張って引っ張ってのハピエンです♡ハピエン厨の方々も喜んでいただけるかと。
若い枝のように大人になる瀬戸くんの手を、ずるくなりたくない星名がどのように取るのか楽しんでください。
瑞々しい物語だと思います。
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