世界が始まる朝に海を見た 分冊版
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世界が始まる朝に海を見た 分冊版

泡山わわ

空と海とヒリヒリする青春

ネタバレ
2025年6月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 冒頭のシーンから主人公が電車に乗って過去に(描写が)戻っていく。その展開の鮮やかさが印象的。
江ノ電と海と広い空を背景にゆっくりと話が進みます。
同じような家族の傷を抱えた、高校生と同じ歳の男の子の淡くて優しくて恋物語。
お互いがお互いを大切に想い、当て馬もすれ違いもない、でも環境や過去はヒリヒリする辛さ。

駅でのエピソードが多いので印象に残りがちですが、碧がみなとの髪の毛を切るシーンがとても良い。お弁当を渡したり、帰りに喋ったりして友情だと思って感情が、前髪を切る時に2人の目が合って「友情以上の感情」を自覚し、思わずキスをする。
ああ、恋に落ちたなってわかる素敵なシーンです。

全体的に抑制された展開で、修羅場も逃亡劇も激しい交合もないのですが、その静かさがとても心地よいです。
綺麗に完結してるので、余韻も楽しめます。
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