それは春の終わりに
」のレビュー

それは春の終わりに

野白ぐり

「恋」の話

ネタバレ
2025年6月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者さん買いです。春くんと中原さんの恋の話。
それまで感情に激しい起伏のなかった春は、にこやかで穏やかな外見とは裏腹に、何事にも感情を揺さぶられたことがなかった。
のに、異動先の中原さんに出会って、知らない感情を次々と知ることになります。
中原さんから目が離せなくなった春に、隣人から「それは恋だよ」と教えられますが、実は中原さんも外面の良い、中身はドライな人物で。

中原さんから「大人の遊び」に誘われ、関係を持ちますが、そこで中原さんにも変化が⋯⋯。遊びだと言ったはずなのに、春からの連絡を待ち続けるはめに。

という似た者同士でありながら、10歳程度年の差のあるふたりの「恋」の物語です。
お互い、世の中のこと、他人の感情に対して鈍感に生きてきたのに、知り合って初めて、激しい感情を知る。そこがこの物語の骨になっていて、わたしとしてはどんどんデレていく中原さんが年上なのにかわいいなぁと思ってしまいました。
中原さん、好きです!

一般的には穏やかに見えて実は熱いところがあり、面倒みの良い春の方が人気があるのかもしれない⋯⋯。

作者様の作品は『雷雷来世』から読み始めて4作目。いずれも全1巻と短いのですが、短さの中に丁寧にキラキラしたものがギュッと込められている感じがします。
春の始まりとともにはじまる恋の物語をぜひ、流されるように楽しんでください。
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