再婚承認を要求します 単行本版【フルカラー】
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再婚承認を要求します 単行本版【フルカラー】

SUMPUL/HereLee/Alphatart

女好きな父を憎んだのに自分も浮気する国王

ネタバレ
2025年6月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 国王は子供を沢山作ることが義務とはいえ、この国の法律が「王妃の産んだ子しか国王になれない(女帝の先例なし)」で、側室が王子を産んでもその子は国王になれないそうです。
それならどうして側室を作る必要があるんでしょう?
「側室の産んだ王子は王妃の産んだ王子より年上であっても、王位継承権は王妃の子優先」といった法律を作りでもしなければ、側室が子供を産むメリットって無いのでは?
それならどうしてラスタを側室にしたのかというと、先代国王(現国王の父)の時から「側室=王のハーレム」みたいな悪習が横行していて、現国王ソビエシュは先代王妃の母親が側室と浮気ばかりする夫に泣かされているのを見て育ちました。
側室の産んだ子が王位継承権発生しないなら、寵愛を奪うだけの浮気相手でしかないですよね?

王位継承権を持つ公爵家令嬢で、完璧な王妃と諸外国にも名高いナビエが主人公。
しかし「幼馴染から結婚した仲睦まじい夫との子供が出来ない」という唯一の不安要素と、今まで「浮気男の父に泣かされた母を見てきたから、一途で貞淑な夫」というクリーンなイメージだったソビエシュが逃亡奴隷ラスタを連れ帰った所から破綻。
自分の狩猟罠で足を大怪我させた罪悪感、女性の足を怪我させた紳士的な価値観、ラスタの「無邪気で無知で庇護欲をくすぐられる美しさ」に惹かれてしまいます。
今まで側室を断っていたのもあって「運命的な出会いで惹かれ合った」なんてゴシップも出てきて、ラスタも「前の地獄のような奴隷生活に戻りたくない」と必死でソビエシュに媚びを売って略奪しようとします。
ラスタを好きか嫌いでいったら確かに嫌いですが、ラスタの置かれていた環境が明らかになるにつれて「逃亡奴隷のラスタはソビエシュの王族特権がないと生きていけない状態で、子供を産んでいない王妃がいるなら自分が子を産んで寵愛を誇示しないと、王妃たちを敵に回す以上はやばい」と必死さがあったのかなと。
むしろ騙されて逃亡奴隷だから、可哀想だからとラスタの味方ばかりで王妃のナビエを粗末に扱うソビエシュは子供の頃の「父のように妻を泣かせる夫にならない」という誓いを完全に忘れていて、そこが一番嫌でした。
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