この恋を星には願わない
」のレビュー

この恋を星には願わない

紫のあ

心が澄んでいく作品!

ネタバレ
2025年7月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ まず絵が綺麗です。透き通った印象の線引きと光あて、書き込まれた目…素晴らしすぎます。実は最初、綺麗だなと思いつつ透明感がありすぎてあまり内容が頭に入ってこず、自分の好みの作画ではないのかな…?と思ってしまいました。そういう方こそ一度目を慣らしてほしいです!10ページほど読んでるうちに目が慣れて、気づけば美しい世界とキャラクターたちに引き込まれてます。

お話の中身も素晴らしいです。絵の綺麗さに負けてないというか、素晴らしいプロットを書ける繊細な方だからこそ高い技術をお持ちなのだろうなというふうに思います。人間関係のうわべの情報だけ取り出すとかなりドロドロした関係性になっていると思うのですが、読んでいるとそのドロドロ感は全く感じません。特に冬葵、瑛莉、黒川先輩の心が綺麗で、それが絵柄にもマッチして透明感が出てます。黒川先輩の優しさは胸を打ちますが、内面描写の少なさから都合の良い人感が出ちゃって読者としても感情移入しきれないところもあります。それも神様の掌の上というか、本人は恋愛良いかなって言ってましたがその実すんごく冬葵のことが好きなんじゃないかなと思います。ここから主人公格になるのかそれともあくまで冬葵と瑛莉の物語なのかは分かりませんが、5巻の描写が楽しみです。瑛莉の純粋さは女子3人の中でも別ベクトルにぶっとんでて、物語のトリガーであり幹の部分でもあります。その場その場で相手に優しくしようとするあまり、他人と深く向き合ってこなかったがための幼さが残るところも可愛く、冬葵が愛おしく思うのも納得です。しかし、4巻ではいくらなんでも暴力的なまでの幼さを冬葵にぶつけてしまいましたね。冬葵応援団としては祭りのあのシーンから反転・逆転満塁ホームランを喰らうとはまさかまさかでした。さすが瑛莉、一筋縄ではいかないのですね…。でも、冬葵は10年?以上健気に瑛莉を大切にしてきて、それは愛情であり選択であり決してかわいそうなことではないけど、辛い想いもたくさん抱えて、無理をしてたんだと思います。それを、瑛莉に直接ぶつけられたこと、良かったんじゃないでしょうか。最初は凄い落としかたをする作者様は鬼か!?とも思いましたが、2人の関係性や物語、そして冬葵に必要なことだったんだと思います。黒川先輩も忘れたくないです。難しいかもしれませんが、できれば3人ハッピーエンドになってほしいです。
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