光のとこにいてね
」のレビュー

光のとこにいてね

一穂ミチ

お互いを守るお守り

ネタバレ
2025年7月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 二人の関係性に名前をつけるとしたらなんだろうと不粋なことを考えながら読んでいましたが、作中の「互いが互いのお守り」という言葉にとてもしっくりきました。「光のとこにいてね」という果遠の言葉は、魔法のような時には呪いのような言葉でもあったけど、結珠の幸せを精一杯願う祈りのようなものでした。7歳の時、15歳の時、その光は弱くて小さくてすぐにも消えてしまいそうで、運命に抗うことのできない少女たちの心そのものに感じました。次に訪れる「光のとこ」は今度こそ明るい光であって欲しいと思いながら読んでいましたが、次の光もまた残酷なものでした。結局今度も結珠は「光のとこ」に縫い止められたまま生きていくしかないのかなと絶望的なラストを予想してしまいましたが、でも違いました。今までみたいに従順に運命を受け入れるだけの結珠じゃなくてよかった。「光のとこ」を飛び出して、本物の圧倒的な光の中へと駆け出していくラストは圧巻でした。
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