このレビューはネタバレを含みます▼
眉毛といえばばせう先生、ばせう先生といえば眉毛ですが…
とてもかわいらしいお話でした。
わりとこの手のパターン多いですね?ほかにもいくつか勇者と魔族が平和的解決のために結ばれる作品を拝読しましたが、本作はその中でも随一にコミカルでハートフル。登場人物の背景や気持ち、人間と魔族の逼迫した事情を丁寧に描きつつ、よくぞここまできれいに丸く収めたと思います。
100年の争いを終わらせる…誰もなし得なかった第三の道を達成するために身体を繋ぎ、見せかけの愛を語る勇者と魔王。
解決策は物騒だけれども、極力周りを巻き込まないよう自分たちでなんとかしようとするその姿勢からは平和へのただならぬ覚悟がうかがえます。生き物に共通する食を通じ、メドドイモで友好を図ったりもして(これがめっちゃ美味しそう!)。
「愛してる」…放つ言葉はストレートだしやることもけっこうな頻度でやっているのに、お互いに肚の中で実はまったく別のことを考えている…どこまでが演技でどこからが本音なのか見極める楽しさもありつつ、ファンタジーなので、同性カップルに降りかかる障害や葛藤のない代わりに、種族間での遺恨解決や折衝の難しさが歯がゆいながらもお話に深みを与え、内容を面白くしています。
偽りから始まった関係が長いバカンスを経て本物になっていく…展開としてはありきたりかもしれませんが、思った以上に楽しめました。
それにしてもばせう先生はすごいですね…眉毛眉毛と気にしていたのも束の間、最後には魔王ビジョンで見ているかのように、ガチムチ勇者が可愛く見えるのだから。