娚の一生
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娚の一生

西炯子

名言の宝庫

ネタバレ
2015年1月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 恋に疲れ、仕事に生きる不器用な主人公に迫るのは、年の離れた一途な大学教授。祖母の愛人だった彼のアプローチに主人公は戸惑いながらしだいに惹かれていきます。大人の結婚の難しさを考えるあまり独身者として踏みとどまろうとする彼女の心をほぐすのは、教授の人生の中から生まれた温かくて深い言葉の数々。「恋なので、仕方ありませんでした」彼女と結婚したいと親戚一同に頼むにはあまりにも青臭く実直的な言葉を、50代のおじさんが平然と言ってのける様に主人公は心動かされます。主人公が「しにたい」と言えば70リットルのゴミ袋を渡し、「飛び降りるならこれに入って飛び降り。掃除が難儀や」とつかず離れずの距離で悩みを聞き出すために声をかけたり、「結婚しようと言うてるだけや、幸せになろうとは言うてない。当てもない空手形振ってほしいんか」と現実的に結婚を考えている姿などは、真っ直ぐな人柄を感じさせ、教授を魅力的に見せています。恋に疲れた全ての女性を潤すために描かれたような作品と言えます。潤滑剤がほしい方、ぜひ読んでみて下さい。
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