離婚するつもりだった
」のレビュー

離婚するつもりだった

有沢真尋/ねぎしきょうこ

必死な時代

ネタバレ
2025年9月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 戦場でのシーンは映画「プライベートライアン」を観ているかのように逼迫した空気を感じました。数行で終わらせるのではなくしっかり描ききったおかげで戦後のほの暗さも伝わり、第一次世界大戦後のヨーロッパを想像しながら読みました。(プライベートライアンはWW2ですが)
何もかもがヒロインのおかげで上手くいき、トントン拍子でヒロインが有名人になりちやほやされるかと思ったら回避する流れがとても好きです。何よりアタオカキャラがいないのが素晴らしい。そんな力業で話の流れを作らず、王族の強引さも国を考えてのことだろうと想像もでき、フォローしてくれる味方もいる優しい世界です。これがチープな作品になるとヒロイン召し上げで一騒動でしょうね。そういう無駄な波乱がなくて対策を練り、説得し、歩み寄りも見せて解決したのも良かったです。
何より好きなのはヒーローの人柄です。一言一言が柔らかくて、年相応の若さを感じさせながらも穏やかな雰囲気が出会いの場面からすでにヒロインを幸せにしてくれるんだろうなと思わせてくれました。こういう台詞が浮かぶ作者さんもきっと優しい方なんだろうなと想像します。
他の方が書かれていましたが公爵様の恋人は亡くなった王女様だったんだろうというレビューにハッとしました。情報の錯綜があったとしても一国の王女が亡くなったことを知らなかったのか、王子が亡くなった姉の話を恋人に触れず語るか(公にしてなかった?)など気になることはありますが、仮に恋人だったとしたら彼は王族と高位貴族なのに婚約者と言わず、恋人と呼べる仲だったと思うと余計に切ない。
アンドリューズや手紙などなどちょくちょく笑わせにくるのも小憎いですね。
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