満月の夜に狼さんと遊ばせて
」のレビュー

満月の夜に狼さんと遊ばせて

畑中大知

文句なしの傑作。出会えてよかった。

ネタバレ
2025年9月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ こんなに少ない話数でこれだけの満足感が得られる漫画はそうそうないです。
誇張なしで惜しい部分がひとつもありません。
濃密なのにテンポがよく、きれいにまとまっている。
どう締めるのか、ワタルはどう決断するのかとハラハラしましたが納得できる最善の着地点を見つけられたと思います。

世界観や雰囲気、絵柄、キャラクター、シチュエーションすべてがマッチしていてどっぷり没入してしまいました。子供の頃に感じていた夜のドキドキやワクワクにほろ苦さを加えたような。言語化の限界で申し訳ないですが、とにかくエモいです。

少しファンタジー要素もありますが難しくはなくうまく馴染んでいます。
BL作品にありがちな葛藤や設定ではなく(それがつまらないとは思っていません)、オリジナリティ溢れるシナリオで新鮮でした。
シナリオ重視、シリアス系の作品はエロが物足りなくなってしまうのも多い中、この作品はバランスが絶妙でエロに関しても充分でした。いかにも!な乱れまくる激しいラブシーンではないけれど、演出や描写が上手なんでしょうか。とてもドキドキしました。

そして今まで長髪男子に萌えたことはなかったのですがこの作品の狼さんによって完全に脳が破壊されました。色気と儚さの暴力。あまりにも良すぎる…
ワタルはかわいくて真っ直ぐだけど心に重りを抱えており、ずっとどこか不安定で危うい。
シンヤの物静かでミステリアスな空気の中に見え隠れするワタルへの独占欲と色欲。
このギャップというか、チラリズムがたまらんです。

読了後は切なさとあたたかさでしばらく余韻。
この作品に出会ってすぐ2周目3周目に入りましたが、まだまだ飽き足らず定期的に読み返しています。
何度読んでも味がするのですごい。
とにかくこの作品が大好きです。今までそれなりにBL漫画を読んできましたが間違いなくTOP3には入ります。殿堂入りです。

作者さんはデビューしたてのようですので今後の作品にも期待が高まります。応援しています。
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