銀の海 金の大地
」のレビュー

銀の海 金の大地

氷室冴子/飯田晴子

胸が締めつけられる

ネタバレ
2025年10月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 古事記「佐穂彦の反乱」がモデルの作品です。氷室先生の最高傑作だと思っています。
古代の生活様式や当時の人たちの考え方など、まるで見てきたかのように書く氷室先生の知識の深さ、想像力、そして古事記への深い思い入れを感じられます。
甘さの欠片もない怒涛の展開には胸が締めつけられますが、登場人物たちはそれぞれの状況の中、懸命に生きています。
是非、多くの人に読んでほしい作品です。
「未完」の大作とされていますが、第1部 真秀の章は完結済なので、安心して読めます!

(個人的ネタバレ)主人公の兄の真澄が好きで好きで…リアルタイムで読んでいた時、お願いだから幸せにしてほしいと心から願っていました。
真澄は生まれた時から見えない、喋れない、聞こえない、障がいを持つ「神々の愛児」です。
心の声で会話することができるのは実妹のみ。実母の愛情や周囲の人たちからの好意は感じられても意思疎通はできない…実妹が生まれる12年間ずっと暗闇の中…怖いと思ってました。なんてひどい状況かと。
恋する相手が実妹(主人公)になるのも仕方がないと思っていました。選択肢が無いのだから。
真澄の転生先は、佐保姫の子ホムチワケ王子だろうから、今度こそ幸せにして欲しいと、執筆再開を待ち続けていましたが、氷室先生の逝去により永遠に叶わないことに…(泣)
御冥福をお祈りいたします。
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