はじめまして、触って下さい。【完全版】
」のレビュー

はじめまして、触って下さい。【完全版】

せんみつ

心がギュッとなる人は俯瞰して読むと楽です

ネタバレ
2025年10月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 人にはなかなか共感してもらいにくい、共通した性癖をもつDKとリーマンが奇跡的に出会い幸せになるお話。私にとって電車の痴漢は嫌な記憶でしかありませんが、されたくて夢にまで見る人もいるのかー、と初め少し「ん?」と思いました。でも夏生くんは、自己価値が低いとか承認欲求が強いとかではなく、自分の性癖や身体に関して興味津々な高校生。ただちょっと、一般的な趣味とは違うだけ。自分は変態なんじゃないかと悩んだりもして、いたって健康的です。
エピソードの中には、犯罪スレスレ(しばしばアウト)なことも出てきます。決して普通の出来事として流していいわけではないんだけど、表沙汰にならないだけで割とよくあることなのでは?と思いました。人は時々、何かのきっかけでどこか壊れたりするから。辻村も夏生も原澤も、そしてきっとあなたもわたしも。
嫉妬に駆られ、心に抱えた傷の癒し方、決着の付け方を間違えてしまう原澤は、淡い思いを抱いていた相手から殴り倒されてしまいますが、そこから学んでいい人に巡り合ってほしい。
もし辻村がDK限定のフェチだったら…と考えたりもするけど、夏生が今最高にハッピーで、ずっと一緒にいる未来を夢見ているのが甘酸っぱくて萌えます。
誰しもが心の中に持つ「正しさの檻」みたいなものの、強度や据える位置、取り出すタイミングなどを柔軟にする力が、この作品にはあるのではないかと思いました。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!