母がしんどい
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母がしんどい

田房永子

未成熟。800円の価値としては微妙でした。

2015年6月3日
母の影響なのかもしれないが、本人の成熟していない文章に、あまり虐げられて苦しかったことが伝わってきませんでした。
お母様にも良いところはいくつも見受けられるのに、ただ、ひたすらに反抗期を繰り返しているような印象。
ただ、ご自分を守るためにお母様を悪者に仕立てたい、自分は悪くない!という病いの心が透けて見え、まだとてもフラットな視点のエッセイではないと感じました。

自分の母はキツくはない母でしたが、おっとりしながらもまさに大変KYで、わたしを褒めることは全くなく、自分を省みることはなく責め立て、わたしが仲良くした人間関係は自分のものにして私を孤立させる有様。子供のような人でした。
私はとうとう鬱になり、様々な血みどろの喧嘩を経て、10年。
今でも共に暮らし、さらには最悪なことに(笑)仕事も共にしています。365日間、24時間、一緒です。
本当に本当にしんどい日々が続きました。

ですが、荒れ狂った日々から心は当時と違い、お互いに穏やかでいられています。
喧嘩も少なくなりました。長年の理解を経て、お互いにお互いをコントロールするのをやめることができたからです。
お互いに親離れ子離れができず、また理解しがたい親子は星の数いますし、それの結果が絶縁であっても良いと私は感じています。

ですが、結果的にお互いを理解しあうことを忘れてはいけないでしょう。
そこに愛情は必要ありません。
客観的に、お母様は弱い子供のような方で、きっと筆者さま以上に不安定な方。ただの子供だと認識する能力がまだ筆者様には感じられません。被害者意識が勝ちすぎている。

そしてこれは特に思いましたが、お父様のお手紙に至っては、読み進めた私にはまったく手紙の通りとしか感じられませんでした。
少なくとも、お父様は筆者さまを理解しようと努力をしたし、お父様なりに我慢もしたことは確かです。
お母様がどんな人間であろうと、愛する妻に暴力をふるい、また可愛い娘が何の連絡も付かなくなること、一人暮らしを他人の家に転がり込んではじめたこと。
皆どこの家庭でも父親は憤りを感じるでしょう。

確かに、自分勝手になっていいこともあります。けれども、自分自身から逃げることは、なんの成長にも繋がりません。
お母様はともかく、お父様が想いを込めて書いたお手紙。
それを受け入れられてこそ、初めて「両親の呪縛が解けた」時だと思います。
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