人の稚魚
」のレビュー

人の稚魚

余津一

なかなか好きな終わりかた

ネタバレ
2025年11月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 短くまとめている分ラストの衝撃が大きかった

人魚姫の物語では「ナイフで王子を刺せば人魚に戻れるが、王子を殺せなければ泡になって消える」というラストを迎える
この物語を人魚姫に重ねるのであれば「歌で誘い出した(歌を聴いた)人間を食べ損ねると泡になって消える」といった掟(呪い?)のようなものがあったのかも

前編でミナミが瞬に歌を披露する描写があったが、あの時に瞬は魅了されたのかもしれない(物語に必要な描写だったから作者は敢えてミナミが瞬に歌を聴かせる場面を描いたのでは…)
先輩はミナミの歌を聴いて放心していたが、瞬はミナミの歌を聴いても特に変わった様子がなかったのは既に魅了されていた可能性もあるが

今まで人間を誘い出したこともなく、家族や仲間から冷遇されていたミナミは知らなかったのかもしれないし、理解した上で瞬を食べなかったのか(自己犠牲という面においては人魚姫に重なる部分もある気はする)
どちらにしろ考察しがいのある作品だった
ただもう少しミナミの心理的な描写があればもっと詳しく考察できそうではあるなぁとは思ったけど、この短さだからこそいいのかもしれない
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