このレビューはネタバレを含みます▼
『いっそあなたがとどめを刺して』は、切なさと執着が絡み合う濃密なラブストーリーで、読み進めるほど胸が締めつけられる作品でした。登場人物それぞれが抱える“満たされない想い”や“言葉にできない渇望”が丁寧に描かれていて、ただの恋愛ではなく、心の弱さや依存、救いを求める痛みがより深く響いてきます。特に、相手を求めながらも踏み込めない距離感や、壊れてしまいそうな危うさが物語に独特の緊張感を与えていて、一瞬一瞬がドラマチックでした。
読後は重さも残るけれど、それ以上に“誰かに強く求められることの幸福と罪”が胸にじんわり広がるような、余韻たっぷりの一冊でした。