神獣と騎士
」のレビュー

神獣と騎士

杉原理生/サマミヤアカザ

神獣と闇と魔法が織り成すFT

2015年7月8日
古めかしい本には何も書かれておらず、心悪き者がそれを読み解けばまさしく凶々しく醜悪な神が現れ、正しき継承者が読み謳えば…。正統派外国FTを読んでいる気分でした。有翼の金と銀の獅子にプラチナブロンドの青い眼をした剣を携えた騎士とくれば、もう物語の虜となりBLであることも忘れ、頁をめくるのを止められませんでした。「三剣物語」「ゲド戦記」に出会った時のようなワクワク感と共に魔法と神と闇の息衝く世界を堪能しました。文章の語り口調は幼くも難解でもなく読み易かったですし、主人公で高校生の類君は置いといて、守護騎士のクインがすばらしい。端正な顔立ちに白地と銀の糸の刺繍で飾られたマントを纏い、普段は言葉足らずの無表情なのに「君は俺のすべてだ」と全ての意味でのたまうのです。この時点で失神しそうです。ラストはうまくまとまり神獣を従えた二人の騎士が異世界に散った「神代記」を探す旅が果てしなく始まるのだろうと予想はつくのですが、どうか私もその物語に連れて行って欲しいと願いつつも、あっという間の時間に物語は終わってしまったのでした。
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