目覚めた五年後の世界では、私を憎んでいた護衛騎士が王になっていました
空島想/束原ミヤコ
このレビューはネタバレを含みます▼
血統を絶対視する歪んだ家に生まれ落ちたヒロインの境遇は、読むほどに胸を締めつけられる‥その冷酷な世界で、ただ一人“人として”彼女を見つめてくれた護衛騎士の存在が、物語に確かな温度を与えている一作
五年の空白を経て王となった彼と再び向き合う展開は、愛と後悔、赦しが幾重にも絡み合う心理劇として秀逸👌
互いを想いながらも傷つけてしまった過去が、静かな痛みとなってページの隙間に滲みます
短編ながら感情の密度は濃く、結晶が砕ける終幕は象徴的で息をのむ美しさ
もっと先の幸せを見届けたいという読後の渇きさえ、作品の完成度を裏付けている
甘さだけに寄らず、切なさを抱いたまま優しく着地する――そんな余韻を愛でる、大人向けの珠玉の一編
いいね