太郎 DON’T ESCAPE!
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太郎 DON’T ESCAPE!

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なぜ、繰り返し読んでしまうのか考えた

ネタバレ
2025年12月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 早くも重版となった本作。凄いなぁと思いつつ、自分自身、繰り返し読む中で考えたことを綴ってみました。
【ネタバレ】
 なぜ、この作品に読み手を引き付けて、繰り返し読ませる力があるのだろう。
 なんといっても、太郎の純粋さと、可愛らしさが際立っているに、本人が無自覚なのがいいんだよね…。その上、自己評価低めなのが、庇護欲をかきたてたり、昔自分が抱えていたことがある感情を彷彿とさせ、読み手が自然と応援し、幸せになってほしいと思う魅力に溢れている。
 そんな太郎が、一軍男子に怯える気持ちも、スクールカーストを体験してきたので分かる。
 太郎の親友だった潤が一軍男子に入ってしまって感じる寂しさと、誕生日すら一緒に過ごせなくなるぼっちさ加減…かわいそう太郎…とすっかり太郎に感情移入してからの展開が神がかっている。

 SNSで相手を見つけ、心を通わせ、一体どんな相手なのか、と期待が高まる中、ホテルへの呼び出し(?)開けたら着ぐるみ(??)という110番案件としか思えない展開に、いきなりMAXになる緊張感と、予想外の甘やかされぶりがもたらす安堵感…という具合に、太郎の緊張と安堵、期待と失望が絶妙に交互に押し寄せてきて、そのテンポの良いセリフ回しとストーリー展開が相まって太郎の幸せを祈る読者を引き付ける展開になっているのです。

 続くアイ君視点での意表を突かれる正体明かし、からの怒涛の激重感情の表出、読者と太郎からしか見えないモテ男の赤面に胸キュンが止まらず、その後も、普段表情の出ないモテ男が、太郎にだけ見せる笑顔。スレ違いかと思いきや、実は太郎への抱えきれない独占欲と執着に本人も葛藤していると知って感じる彼の不器用さのギャップ。結果、彼自身の愛おしさも2倍増し。
 愛くるしい絵柄、笑いもある若者らしいやりとりの裏に、定型通りのストーリー展開を拒んで意外性を保ち、時々訪れる不穏さや緊張感が、太郎の幸せを実感するためのスパイスになるという緩急つけたストーリー展開が実に見事。

 先生が、信念を持って明るく楽しく優しい漫画を描いていることを別作品の後書きで知った。読後に何とも言えない多幸感を感じるこの作品は、先生の信念がもたらした結晶そのものなんだ、きっと。読者はこの結晶がもたらす温かなトキメキを味わいたくて、繰り返し読んでしまうのだと思う。先生のBigLoveに感謝!
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