みいちゃんと山田さん
」のレビュー

みいちゃんと山田さん

亜月ねね

生きにくいとは具体的にこういうこと…

ネタバレ
2026年3月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 私が最も嫌いな言葉は「運が悪い」です。本人にとっては予測出来ず、事態が起きた時に対処のしようがなく、何よりその事態の起きた後に挽回のしようがないことが多々あるから。

例えば指定難病を発症したりして、運が悪いという4文字だけで後々の人生において救いようのない結末を迎えてしまうことを、長年携わってきた福祉の仕事で沢山見て関わり、或いは自分の家族や自分自身で多く体験してしまったからです。

みいちゃんは障害に全く理解を示さず世間体だけ気にする祖母の下、障害を持って生まれてしまい子どもを育てる能力皆無なご両親から生まれて、遺伝子的にも欠陥を抱えて自身も生まれてしまうという、最悪に運が悪い家族環境でスタートしなければなりません。

その運が悪いという4文字の代償に、ここまでの苦しさ悲しさ生きにくさをしなければならないのか…しかもみいちゃん本人はその運の悪さすら理解出来ない。。何とか中学時代に小さな小さな幸運から上向きになりかけた生活も、周囲のささいな悪意の引き起こした結果が取り返しのつかない転落の始まりになってしまい…読んでいて涙が止まりませんでした。。

みいちゃん自身の言動がこの結末をもたらした、という意見があるのも分かります。しかし認知症などもそうですが脳が壊れているのは外から見て分かりません。機能に欠陥障害のある脳でどうして状況に合った正しい言動が出来ますか、骨折した腕で重い物を持ち上げられますか?というのと同じです。

言葉による意思疎通という手段がとれない以上、みいちゃんの側にいる人は離れるか、憎しみを向けるか、或いは悪意を持って近づいてくるか…

同じくらいの障害を持つであろうムゥちゃんとの対比が本当に残酷です。両者の命運を分けたのは家族という本人が自分で選びようのなかった運の差。

そんな救いがないように見えるみいちゃんの近くに、自身の悩みや苦しみを抱えながらも山田さんが絶妙な距離感で側にいてくれることが、この作品では本当に唯一の清涼剤に感じました。この作品のその後でも、山田さんがみいちゃんのことを忘れないでいてくれてる描写が話の冒頭にあったことも。

みいちゃんのような人は現実にも確実にいます。もし輪廻転生というものが本当にあるならば、そういった障害を抱えた人たちが、次の人生では少しでも多くの幸運に巡り合うことを祈らずにはいられません。
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