このレビューはネタバレを含みます▼
ほっこり温かく、美味しそうな家庭料理が沢山。転生者で小国の王女であるアリアははるばる大帝国の皇帝陛下の婚約者候補として、王城に着いたのだが、そこでは皇帝が妃を決める気が無いという。着いて直ぐに帰国するのも憚られると考えたアリアは、市井に下り、平民のフリをして暮らし、成り行きで出逢った食堂で料理人として働く事に。んもぅ!アリアが良い子なので、出逢う人達も皆んな良い人達。しかもお約束で身分を隠して出逢う皇帝陛下と温かな料理を通して良い仲になって行く。長々と引っ張る事なく、互いの身分を明かし合い、何の問題も無くめでたくご成婚!となるかと思いきや。皇帝陛下は王位簒奪を狙う王弟派から妃を護る為に結婚を先延ばしにしていたと言う事も明かされて行く。そう、皇帝陛下はまだ若いが政情を見てはこの国の為に働く真面目な人。彼の「信じて待っていてくれ」を疑うわけでは無いが、心揺れてしまうアリア。王弟の幼ない娘リズは陛下とアリアを慕っているので、ここは陛下と組んで一働きしてくれるんじゃ無いかな、と期待する10巻。そろそろ大団円かなぁ。ところで出て来るお料理がいずれも日本的な家庭料理で、ほっこり心ほぐれる温かさ。中世ヨーロッパ風の物語の中で、すぐ様大人気になるのはチート過ぎだが、直ぐに作ってみたくなるのだ。甘かったり甘くなかったりする、それぞれのお家で違うであろう卵焼き。辛かったりそれ程でも無かったりするカレー。野菜沢山のスープや鍋。具で変わるグラタン。おにぎり。おでん。誰もが知り、食べた事ある料理名が、家庭の数だけあるだろうレパートリー。誰もがそこに幸せな想い出とレシピがある。それを想う時ふっと柔らかい気持ちになる。温かいお料理は人を笑顔にして、それを食べる幸せをもたらす。当たり前の事を気付かせてくれる、そんな物語です。