巣箱の王子様
」のレビュー

巣箱の王子様

秋平しろ

笑って、泣いて、幸せになる物語

ネタバレ
2026年6月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最初はコミカルでテンポの良い作品だと思い、たくさん笑いながら読み進めていました。ところが物語が進むにつれて思いもよらないシリアスな展開が訪れ、登場人物たちの抱える痛みや孤独に胸がチクンと痛みます。
それでも、この作品が素敵なのは、主人公も王子もお互いを思いやる優しさと誠実さを最後まで失わないところでした。

青柳くんが顔を真っ赤にしながら「悔しい この人にだけは 知られたくなかった」と心の中で叫ぶ場面...好きな相手だからこそ知られたくない、傷ついたプライドが痛いほど伝わってきて、とても切なかったです。
また、王子にお見舞いを包み、「申し訳ありませんでした」と土下座する場面では、青柳くんの誠実な人柄や恥ずかしさ、惨めさがひしひしと伝わってきます。
きっとどなたも読みながらウルルときてしまう場面なのでは。

すれ違いや苦しみを乗り越え、二人がようやくしっかりと結ばれた場面では、その幸せそうな表情に胸がいっぱいになりました。派手な言葉では表せない、ただ穏やかで優しい幸福がそこにあって、まるで平和な世界を見ているようで思わず涙が出そうになりました。

効果音がルンタッターだったり、笑い方がクスクスだったりとコミカルな絵柄や軽快なやり取りからは想像もできないほど、心に深く響く物語です。
笑って、切なくなって、最後には温かな幸せに包まれる、本当に素敵な作品に出会えたと思います。
試し読みだけでもこの作品の魅力はきっと伝わるので、ぜひ多くの方に読んでほしい一作です。
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