このレビューはネタバレを含みます▼
某SNSのお試し読みを見かけ、こちらで全巻読みました。とてもおもしろかったです。
一番よかったなと感じたのは、お話中、一貫して嘘をついていると感じるところが無かったところです。
もちろんフィクションを入れ混ぜてのお話作りにはなっているのだと思いますが、主人公が思ったこと、感じたもの、周りの人達との関係性など、どれも本物の質量があって、自分もこういうことあるな〜、この人はこんなふうに考えるんだ、などとあれこれ考えながら読むのが楽しかったです。
分かりやすいように整えられた他人の生活が目に入りやすい現代の中で、嘘のない質量を持った誰かの暮らしに触れられてほっとしました。
また、私もうつ病になったことがあり、『迷惑をかけたくないという気持ちから死に思いを馳せる』部分には、これってみんな体験することなんだ、と目から鱗でした。
私は死にたいときにはよく海を思っていたのですが、主人公は山を思っているのが、そこは人それぞれなんだ〜と面白かったです。
自分のことはなんとなくぼんやりで済ませてしまえる主人公なのに、ニシハラさんのこれまでの不遇を報いるためには力が湧いてくるところが、「大切」の証ですね。
主人公たち(作者さんとご家族)がこれからも穏やかに暮らせるといいなと思います。