このレビューはネタバレを含みます▼
海辺の町で祖父と孫の遼馬が暮らす銭湯のある家を中心に色々な人や物事に関わっていくお話しです。
遼馬の父が亡くなった後に、父の隠し子である玲臣が訪ねてきます。
2人から3人に家族が増え、学校での生活も銭湯のある自宅での生活も大きく変わっていきます。
始まりがそうなので辛そうかと思いきや 基本的にいい人しか出てこないので安心して読めます。
小さい頃に母親が出ていき、父が亡くなり、祖母が亡くなり、大切な人がどんどんと自分の傍から減っていってしまうような環境で年を重ねていく遼馬。
でも、祖父の温かく大きな愛情に包まれ、銭湯に毎日のように来てくれる ご近所のおじさん、おばさんも家族のように祖父と遼馬を見守りながら接してくれているので寂しくはないのです。
そんな温かい大人たちの中で育ったからなのか、考え方や物の見方が大人びている遼馬の言葉は友人たちの心の奥に響く優しくも強い力を持っています。
読んでいると毎回 遼馬の言動に胸を打たれます。
育った環境は違いますが、母親からの愛情にまったく恵まれなかった玲臣も人の機微に敏感です。
二人の周りにいる学校の友人たちの中にも、いろいろな問題を抱えている子たちが居ます。
自分を責めてしまう時、辛いけど誰にも打ち明けられない時、他人の為にと自分を犠牲にしてしまいそうな時、遼馬や玲臣が優しくも ハッキリと相手に伝える言葉に ハッ とさせられます。
絵のタッチも優しく お話しもテンポ良く進みますが、決してドタバタしていなくて、むしろ 時間がゆっくりと進んでいくようで癒されますし、何度読んでも飽きることなく、毎回心が洗われるようなお話しです。
多くの方に知ってほしい素晴らしい作品だと思います。