その唇に夜の露
」のレビュー

その唇に夜の露

深井結己

トラウマになる…けど良かったです…

ネタバレ
2015年9月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「さようなら、と君は手を振った」を読んでから深井結己さんが好きになりました。
どこかのブログに「深井さんの作品と言えば、トラウマになるけど…おすすめの作品」っと書いてあって、それ以来ずっと気になってたこの作品…読みましたが…こりゃ〜トラウマになるわ(笑)
昔傷つけてしまった(なんてもんじゃない)友達との再会から始まるこのお話。ざっくり言うと、その友人が彼に復讐を始めるんですが、これが…結構エグくて読んでるこっちがトラウマになりそう…。なので、あまり闇部分がきつい方にはおすすめ出来ないです。絵もそうですが、心理描写が上手いので、読んでるこっちも結構疲弊します。でもそれが大丈夫な方には是非読んで欲しいです。
なんで彼が昔彼を傷つけてしまったのかの心理描写が上手い。やった事は許せるものではないけれど、子供だからこその好きな相手への純粋な気持ち。だからこその自分でもどうしていいか解らない残酷さ。大人だったらまだ他の引出しがあったのでしょうが…でも大人になってもその純粋も残酷も解りますよ。そして大人になってからも残る傷つけてしまった理由の悲しみと後悔、再会してからの動揺、そして自分自身…こっちもそれなりにはよく解るし、感じるから、なんとも言えない…せつないの一言では片付けられないようななんとも言えない気持ちになりました。病院でのシーン、泣きそうになりました。好きになり過ぎちゃったんだよね、コントロール出来なかったよね、そりゃ周りにも相談出来なかったろうし、その前に自分でもよくわかんなかっただろうし、1人で苦しかったよねと。やった事は勿論許せないと、一生苦しめられてもしょうがない事をやってしまったと言えるけど。その前の1シーン1シーンを思い出して、泣けてきました。
その後は、もうちょっと1、2話足して欲しかったなっていうのはありましたけど、でもちゃんと次にいけたので救われます。人によっては納得しないかもですけど、私はこれがないと立ち直れませんわ。
BLって明るいのから暗いの迄色々あるけど、深井さんの作品はどれもなんとも言えない気持ちになるのが多い。で、そのなんとも言えない気持ちを抱えたまま、日常に戻っていくんですよね。本当、こういうのって深井さん上手いなぁ〜と思います。
内容結構な重さ、暗さですが、私は好きです。表紙だけだとどこかのエロだけ漫画ですが、内容は違いますよ。
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