花の血族シリーズらしさの溢れる続編





前作の主人公、今作での水優のお母さんである朝露のお話の時も、主人公が可哀想で、高塚家の人達も東吾をはじめ、千早もしがらみに囚われた可哀想な人達ばかりでした。そして今作でも、続編だからといって決してみんなの幸せなその後が見れるわけではありません。
ファンとしては、同じ前作のファンにお薦めして良いものか正直迷います。まぁ、私が何も言わずともファンなら読むでしょうが、ファンこそ読むと悲しくなってしまう内容かもしれないからです。それでも、読まなきゃよかったとは思いませんが。さすがと言わんばかりのシリーズらしい内容なので、面白いことは確かです。シリーズならではのエロ描写も多いです。でも前作の余韻に浸っているうちは読まない方がいいと思います。時間を空けてから、気になったら読んでみてほしいです。
朝露も悲しい思いばかりしていましたが、娘の水優はそれ以上に可哀想な気がします。朝露の時のしがらみが更に拡大し、水優を翻弄してるような内容になっているからです。水優は結果的には色んな人に愛された事になりますが、本人は誰を信じ、愛せば良いのか分からないほど苦しい状況に立たされます。
前作で人気だったと思われる、朝露への想いが報われなかった千早ですが、前作ラストでもその後幸せになるとは思えなかったけれど、今作を読むことによって想像の余地なく、その後の辛い想いで生きる千早を見せられることになります。彼にとってはそれなりに幸せだったかもしれない、けれど読者的にはもっともっと、幸せになってほしかった。救われてほしかった。そう、思わざるを得ないです。
一つ残念だったのが、前作で朝露の選んだ東吾が存在感無いただのおじさんになっている事。この続編は色んな意味で、千早の物語になっているので仕方ないかもですね。

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