このレビューはネタバレを含みます▼
明治が舞台で、元芸妓の母を持つヒロインと、母が後妻に入った家の長男がヒーローのお話。
義兄妹という関係なのですが、愛が芽生えて育んで~といったお約束なストーリーではなく、ヒーロー章一郎さんの倒錯した執着心がメインの、愛情といったものはほとんど感じられない内容になっています。
せめて、ヒロイン雪子の方に義兄に対する愛情があったら、感情移入しやすかったかもしれないのですが、嫌悪しつつ恐怖心から逆らえない状況の中で、どんどん快楽に流されてしまうので、登場人物を傍観しながら読み進めました。
章一郎さんの病みっぷりがハンパなく、もう狂ってるって感じで、普段優等生な分の鬱積した思いを雪ちゃんにぶつけまくってしまう。
雪ちゃんはもっと自己主張すればいいのに、ひたすら受け止めてしまい、それがまた章一郎さんを追い詰めてしまって泥沼なんですが、もうそういうところがゾクゾクして夢中になって読んでしまいました。
反対に、雪ちゃん貞吉さんカップルは切なくて、特に牡丹に獅子の辺りは、きゅんきゅんして思わず泣いてしまった。
イラストも素敵です~。
お話の内容にピッタリでした。
耽美的で、雪子と共にふわふわと水面を漂い流されていく様な不思議な世界観を堪能しました、最高でした。
ハッピーエンドがお好きな方は、ご注意下さい!
相当ショックを受けると思います。