このレビューはネタバレを含みます▼
広告につられて一気に読んでしまいました。
「自分が死んだって誰も悲しまない」
「死んだら楽になるのかな」
よくある科白ですが、残された側の人間から描いて、
未来と過去を行き来する構成は描く方も読む方も難しくなるかなと思っていたのですが、
話の要点を絞っており、その中で高校生ならではの気持ちのやりとりが丁寧に描かれてとても読みやすかったです。
運動会のリレーで皆で言葉を繋げて翔にバトンと想いを渡していくシーンは号泣しました。
恋愛漫画なので少しドロドロあるかななんて思って読んでいたのですが、ドロドロどころか、みんな心がとても綺麗で素直な子ばかりでした。
一話ずつ各巻に収録された双子の話(全5話)からも、自分より相手を気遣う心優しいキャラクターを描かれるのが先生の作風なのかなと思いました。
須和はもう「イイ人」になっちゃって、自分の願望を抑え込んで、菜穂と翔を救おうとしたところがとても切なかったです。
須和は翔のいない世界では大好きな菜穂と結ばれて、そして自分の子供授かってる事を知ってるだけに。
未来の須和は菜穂が中心になって、自分の夢を叶える事を翔の死をきっかけに辞めてしまったので、翔のいる世界では須和は夢を叶えて優秀なサッカー選手になって欲しいです。
後日談もなくしつこすぎず、ちゃんと言葉の端々にどうなりたいかが含まれていて、
作者の言うとおり描き切った感が十分伝わる、とても上手な終わり方をした漫画だと思います。