このレビューはネタバレを含みます▼
昭和初期の閉ざされた島では、十八年毎に謎の奇病が流行り、次々と島民が亡くなっていた。
昔、他所からやってきた男が愛する娘を目の前で殺され、自分も死ぬ間際「呪ってやる」という言葉と共に、京で流行した悪い病を封じた箱を残した。
その箱は閉じても開いてしまい、その度に病が流行するので祟りだと思われていて、清い十八歳の娘に箱を抱かせて生贄にしてきた。
その生贄に選ばれたのがヒロイン。
ヒロインには前世の記憶があり、自分は男の愛した殺された娘で、生贄になることで男の怒りを鎮めることができ、死んだら愛しい男に会えて幸せになれると信じている。
ヒロインが十八歳になる生贄の儀式の時に、ヒロインを攫ったのがヒーロー。
仄暗く、シリアスなお話です。
「狂鬼の愛し子」をついこの前読んだばかりで、設定がちょっとかぶってるかな~とも思ったのですが、読んでるうちに気にならなくなった程、すごく良かった。
昭和初期の雰囲気もいいし、いろんな謎があって、中盤からどんどん謎が明かされていくのですが、面白い~。
業正さんがちょっと怖くて不気味だったのですが、事情が分かってくると切なくなりますね。
いろんな場面を思い返すとうるっと来ます。
一番良かったエピソードはワンピースを購入するところです。
ヒロインは最初、極端過ぎて共感出来なかったのですが、幼い頃のヒロインが可愛くて一気にイメージが逆転しました。
ヒーローは優しい丁寧な言葉で、ヒロインをねちねち苛めるのですが、すごくいいです~。
ヒロインが喜ぶからやっているんだってところも素敵ですね。
かなり病んでるような歪んでいるようで、純愛で、ソーニャ文庫って感じで堪能しました。
明かされないままの謎や、暗さを抱えたままのエンディングも良かった。
サイトの番外編では更にその後の事が分かって納得しました~。
これはかなりオススメしたい作品です。
イラストは岩崎さんなので、安定していて良かったけど、お話の雰囲気にはどうかな~と思いました。