わが愛しのホームズ
」のレビュー

わが愛しのホームズ

柿沼瑛子/ヤマダサクラコ

あくまでも、パロディ的なお話です。

2015年12月29日
注意※ワトソンが密かにホームズに恋愛感情を持ってますので、聖典ファンやシャーロキアンを自覚されてる方には、全くおすすめしません。
ローズ・ピアシーさんというイギリスの作家さんが書かれたお話です。私は、聖典とか特にこだわりがない一般人なので、普通に楽しめました。雰囲気は原作に忠実な感じなので、ビジュアル的には、グラナダ版かSHERLOCK特別編のお髭ワトソンを想像してもらえば良いんじゃないでしょうか。
表紙のイラストが素敵だし、挿絵も少しあります。原作と同じく古めかしい言い回しはありますが、わりと読みやすく訳されてました。どうやら日本語版はずっと廃盤になってたらしく、今まで中古本は高値で取り引きされてたらしいですね。ちゃんと事件の謎解きもあるので、読み応えは十分です。この時代のイギリスでは、同性愛が悪(法律でも、世間的にも全く許されなかった)とされ、差別されていたので、必死に恋愛感情を隠そうと苦悩するワトソンが切なくて愛おしい物語なんです。同じ嗜好のメアリとの偽装結婚、ホームズの本音と嫉妬、マイクロフトの企みなど、基本的なストーリーは原作と同じなのに、登場人物の思いや行動の辻褄が合っていて『読ませる』作品です。原作ではワトソンが驚いて気絶した滝落ち後の再会シーンが、なかなか色っぽいことになっています。ちゃんとホームズとのハッピーエンドで終わりますよ。(そういうシーンはなく、いちおう健全な本ですので、ご安心ください)
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