このレビューはネタバレを含みます▼
本作品を読むと、今はあまり放送されなくなった心霊現象番組をはじめ、超科学雑誌、珍百景…等々、あの頃の小学生が慣れ親しみ、憧れ、そして恐れた「不可思議な昭和の世界観」を強く感じる。そして、レトロやノスタルジックといった「美しいイメージの昭和」に消されていった、薄暗く汚く狂気的でありながらも、力強く躍動的な「一種意図的に忘れられた昭和」を思い出す。
この「暗い昭和」を見出した作者の着目点は、デビュー当時の作品からみても、もともと素質(興味)があったのだろう。
個人的には、「一風変わった個性の集う街」というより、失われつつある「暗く強烈な昭和」を今なお抱える街という捉え方で、永く、深く、ゆるく描かれていくことを期待している。
…と、長々書いたが、あくまでギャグマンガ。娯楽本として、性別年齢問わず気楽に楽しめる。このディープ昭和の濃さと、ギャグマンガの軽さの好バランスも、本作の良い点。