このレビューはネタバレを含みます▼
借金を抱えた伯爵家へ、姉との結婚を条件に借金を肩代わりしようと冷血漢の公爵のヒーローが訪れる。
妹のヒロインは、姉は身体が弱く、結婚を決めた人がいるので、代わりに自分がヒーローの元へ行くと訴えるが、子供には興味がないと断られる。
父と姉の為に何でもする覚悟のヒロインに、言う通りにするなら家の事は保障し、気に入ったら妻にするという約束で、ヒーローに囲われる事になる。
「いきなりプリンセス」は洋モノでしたが、こちらは和モノです。
読み始めてなんだこれ既視感?と思ったら、数年前に携帯で読んだことのある作品でした。
当時「芋茎」についてグーグル先生に質問した記憶があります…。
ヒーローは生い立ちに事情がある為、屈折していて、不安定で、サディスティックなんですが、ヒロインを溺愛しているのが良く伝わってくるし、子供の頃の描写は切なくて泣けてきました。
そんなヒーローをヒロインなりに受け止めようと温かく応じているところもすごく良かった~。
蝶がキーになっていますが、お話全体が、幼く世間知らずだったヒロインが、ヒーローとの関わりで羽化するように、しっかりとした大人の女性になっていく過程も描かれていて、美しい情景描写がお話の世界観を盛り上げています。
また、登場人物の気持ちや心情の変化の描写が丁寧で、読んで納得のいくお話でした。
ヒロインの初恋の男性と対峙するシーンは緊迫感もありながら、ヒロインの成長が良く分かって感動しました~。
エロもがっつりという感じで、サディスティックに苛めるヒーローですが、甘さもあり、特に初心なヒロインに手ほどきする時が優しくて良かったです。
鳴海さんのデビュー作みたいで、古い作品かもしれませんが、さんざん乙女系小説読み倒した今、再読してもやっぱり面白いと感じられるので、オススメです!