Magnolia
」のレビュー

Magnolia

nakedape

中盤までは夢中で楽しめる。終盤は……

2016年4月11日
男でも女でもない、これから男にも女にもなれるという設定の主人公を軸に繰り広げられる恋物語。
男に恋をすればこの先女に、女に恋をすればこの先男になるという不思議な体質の主人公・アヤト。これまで男として育ってきたアヤトが、性別を選ぶという人生の岐路に立たされた時、男女共に魅了してしまう不思議な香りを放つようになり…。その香りに誘われてか、アヤト自身に惹かれてか、多くの美男美女(主に男)がアヤトの周囲に集まり始め、様々な想いが交錯するという魅惑的なストーリー。
そんなストーリーに見合った絵柄と画力を兼ね備えた作家さんが描かれていることで、より美しい世界観が表現され、倒錯的で魅了されました。

ただひとつ残念なのが、これだけじっくりと魅せながら広げていった風呂敷を、何故最後は一瞬で雑に畳んで終了させてしまうのか。同じ作家さんの別作品も読みましたが、全く同じ感想を抱きました。非常に惜しいです。
中盤あれだけ面白く盛り上げることができるのに、どうして最後は駆け足で無理矢理終わらせてしまうのか理解に苦しみます。いつも神作品になり損ねている印象です。
最後までしっかり描かれていれば間違いなく☆5を付けたい作品でしたが、終わりよければ全てよしという言葉とは真逆で、最後に台無しにされているようで、どうしてもこの、急に浸っていた世界から追い出された読者の心境としては寂しさから☆3程度しか付けることができません。
キャラクターはどの人物も魅力的でツボでしたが、こんな終わり方をせざる得ないことになるならば、サブキャラ及びサブキャラに関するサブエピソードなど描いてこれ以上世界を広げずに、主要人物のみのストーリーを最後までじっくり描いていただきたかったです。
最後はなんとなく「うん、ハッピーエンド?よ、よかったね?」と思わされますが、この疑問符を消していただきたかったです。結局性別の問題や、マグノリアの秘密に関する解決法、それぞれの恋愛感情や、叔父の母に対する想いの詳細など、全て明かされず解決せず仕舞いです。この状態でハッピーエンド感を出したこと自体納得できません。
あと、あれだけ序盤から中盤にかけ翻弄してきたユーゴとの関係も駆け足でアッサリ…。最後だけ読者を置いてきぼりにするなんてあんまりです。最後こそ、きちんと魅せてほしかった。これに尽きます。
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