ついでにとんちんかん
」のレビュー

ついでにとんちんかん

えんどコイチ

後で気付く解釈も

ネタバレ
2016年5月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ この作品が登場した当時は、奇抜なギャグ漫画として楽しんでいた。

そして、今となって改めて読んでみたら、懐かしさと共に、その当時には見えなかった解釈や、気付かなかった設定が見えてくる。

例えば、「とんちんかん」のメンバー。三人の名前の一部から取ってそうなったのはすぐに分かる。しかし、苗字の頭文字や色の設定と、その中の一人の中国人風の名前は、元ネタが何なのか、気付いたのは後になってからだった。

この作者のほかの作品がほとんどギャグではないことから、恐らく自分の可能性を模索したときに出来た一つが、この作品であろう。ストーリーの内容と描写から、その苦悩が伝わる。

ただ、共通しているのは、教訓的な内容を含むということだろう。一見すると不道徳だが、よく考えると、一筋縄とはいかない人間関係を描く要素も見えてくる。

この作品が終了した後、強烈なギャグ漫画は徐々に衰退し、見下される傾向になっていったと思われる。しかし、それはそれで危うい。というのも、ギャグ以外の漫画は大概、ルックスの良い人物が主人公、目を覆いたくなるような容貌が悪役、あとは全部同じような設定といったパターンばかりの内容がほとんどで、善悪二元論を助長させる可能性が高いからだ。

複雑化する社会の困難に向かい合うときに、このような内容のフィクションも、絶対に必要だ。

自己顕示欲をむき出しにした、とんちんかんなレビューを長々と書いて申し訳ないが、この作品に出会えて良かったと思う。
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