魂で愛して
」のレビュー

魂で愛して

宗真仁子/アン・マリー・ウィンストン

何者であろうと好き、私の好きなテーマ

ネタバレ
2016年10月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 卑屈になることなんてないのに。此処まで進んだのだから。このストーリーは、風船の膨張破裂の如く起きた事件に対して男性が、なぜもっと自分に彼女のほうから自身について語ってくれなかったのかとの思いを増幅させる。ヒロインが彼に伝えるタイミングを計りかねているうち第三者によってもたらされてしまい、失望から二人の関係は決定的破局の危機にさしかかる。

話のスケールは比べられないが、実は私って何々だったんだぁ~、だなんて、そんなに簡単に他人に自分自身を暴露できない、その辺のところは自分なりに大いに共感できる。恋愛に限らずとも。

反応が怖い、嫌われたくない、言ったことを後悔しそう、隠すことに関して相手に悪意抱いての意図でなく、大切にしたいからこその慎重。

相手は、なぜ彼女は話してくれなかったんだ、と、ここから始まる不信のスパイラル。

端的に彼が気づけばいいだけの話。二人のことを大切に思うあまり、言うに言えず、それでもいつか時が満ちて話す気になったかもしれないと。

信頼関係は自分の正直さを要するけれど、どこまでをどの段階で知ってもらうか難しい。話そうと思っても、今はまだやめとこうと勇気の頭は出たり引っ込んだり。

でも、男性の側はプロポーズを決意するほど自分の気持ちを外に表した。しかも、堂々としたやり方で。
自分のハンディを乗り越えて愛情を公にするのは、ある意味まるで裸になってるようなものだ。そのステージにまで入っている彼からしたら、なんだそこを言ってくれてなかったのか、悲しみと驚き、そして、失望の上に怒り、想像するに衝撃はそれはそれは大きい。正々堂々と、が仇になり、彼女には嘲笑う気持ち皆無でも、状況が少し衆人環視だったから。純粋に人を好きになってる心を大いに傷つけられただろう。

このストーリーは、彼のヒロインへの思いやりからくる理解が解決する。なるほど言えなかったのは無理もなかったな、と。

結末に向かうまで二人は積み重ねた短い期間中に、お互いが相手に、正に、「魂」で付き合い、他人が評価に用いる外側のことを頓着しなかった。
このストーリーが見せてくれた二人は、人が人を見る目に用いるものを度外視した。とどのつまり人を好きになることはこういうことです、みたいな、私がHQに求める二人だ。

前の彼女の気持ちが、とは思うものの、もうそこはやはり、ただ過去にしか過ぎないか。。。
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