世界一結婚したい男
」のレビュー

世界一結婚したい男

麻生歩/メアリー・アン・ウィルソン

世界一結婚したい男だからではなくコナーと

2016年10月15日
プロポーズに答えるマギーの言葉がこのストーリーの最も大切なところ。貴方(貴女)が誰であっても愛していた、このポイントが私がHQクオリティで求めるもののひとつ。

お金持ちに自分がなることが嫌いな人は誰もいない。地位や財産は男性だって欲するもの。これを否定するつもりは全くない。だから、大富豪や王族・貴族と結ばれる話が広く読まれるのも当たり前。
でも、ストーリーに読み手が求めるのはおもてはそこじゃない。
リッチじゃなかったら相手にならないのか?

そうした階級にいる男性とて同じ。嫁取りは家同士の格を合わせるのが世の中のならい。男性も自分の地位にふさわしいという意味で、周囲に誇れる相手を望むのが本心。

この話の良さは相手が何者であるかをよく知らないまま恋に落ち、クライマックスで素性の露呈があるが、それでもそのまま結婚まで進むことだ。ためらいなく彼が愛を取ることだ。

だから、プロポーズを受けるヒロインの言葉が物語全編を貫くテーマとリンクして輝きを放つ。

とても女の子の夢を叶えてくれる良くできた作品だと思う。

麻生先生は黒と白の使い方がいいと思う。
そして、この作品でも先生の他の作品同様、富裕な人々の暮らしが嘘臭くなく描かれている。エレガントなドレスなどに安っぽさがない。上流階層のプライペートな生活空間が本当にそこにあるかのようだ。
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