宿命のパートナー
」のレビュー

宿命のパートナー

麻生歩/ダイアナ・パーマー

激しい。近づいては離れ、憎いのか愛なのか

2016年10月27日
私にはあのようなエキセントリックな関係は面倒くさい。
だがこの二人は他の人に切り替えられないほど互いを求めてる。否定しても振り切ろうとしても戻ってきてしまう気持ち。
互いに相手が好きなのに自制心が欲しいとは、その抑制は一体なんの意味が?愛のために、欲望なんかのために、相手に振り回されたくない、奴隷になりたくない、というが、のめり込んでる当人はそれで幸せだったのだろう。他でもない自分には厳しかったはずの父親が溺れているのを目撃したから嫌悪感もひとしおだろう。まだ親を尊敬していたかったのだろう。親の再婚相手とは血が繋がっていないために、堕落した親、欲に溺れる醜い姿が余計ぶざまに見える、その嫌悪感からだろう。
そもそも、自分の親が色恋にのめり込んで歓心を買うために翻弄されている光景など、すんなり受け入れるこどものほうが珍しいのではないか。

自分には要求しているものが親にはできてないとなれば、怒りはまず自分の親に直接向かうのが筋のような気がするのだが、誘惑してる女が悪いと。


そんなこだわりも、ヒロインにとってみれば振り回されるだけの厄介な手前勝手な彼の心だけのもの。
心情など語ってくれるでもなし、ヒロインの彼に寄せる好意だけがこのストーリーでは確固たるもの。嫌い大嫌いと言いながらも彼を忘れることのできないヒロインの胸のうちを思うと、何で早く彼女を包んでやれなかったか。自分の乗り越えるべき山が険しかったのもわからないではないが。
結婚するつもりがここまでこじれる、そして、何が克服の鍵となったか、何となく彼女の言葉に押されて吹っ切れただけに見えてしまい、かつても今も、ヒロインが彼のことを好きではなかったらやめときなさいよとでも言いたくなるような煮え切らないタイプ。
恋のライバルかと身構えた女性の存在もなんとも腰砕けで土地の売買話が遠くで片付いてしまう。

結婚を形だけにしたくなかったのか、それともプロポーズまではヒロインの気持ちに、自信が持てなかったのか?
それにしてはこの彼の台詞は不敵で、自惚れに聞こえる。空威張りだったのか?

結局両方とも相手のことがずっと好きだったのでしょ、ただ彼が意地でも素直にならなかった、それだけのことじゃないの、と思えてしまう。

ただ、今まで読んだ麻生先生のハーレクインのうちで最も私の好みの男性、後ろ姿さえも見とれて読んだ。太陽光が似合う。
いいねしたユーザ2人
レビューをシェアしよう!