砂礫王国
」のレビュー

砂礫王国

由貴香織里

また冒険ファンタジーを描いて欲しい

2016年10月30日
「砂礫王国」は全体的にすっきりとまとまっている感じで、良いと思います。
最初は砂牙とは正反対に、両親にも他の人々からの愛情にも恵まれて、幸せに暮らしていた煌が、両親を殺され、砂牙を倒すために、しだいに逞しくなっていく感じも、いいですし。
愁との恋も、いいですね。そして砂牙の最後も、救いがある終わり方で好きです。
私はこの作者の、もっとこういう感じの、正統派冒険ファンタジーみたいなのを読みたいのですが、なかなかこういう作品が、また描かれていないようなので残念です。
それに作者自身も、こういう感じのファンタジーを、もっと描きたいと書いていたのに、この作者のゴシックホラーみたいなのに比べて、こういう作風の作品は、あまり需要がないということでしょうか?「ストーンヘンジ」は、「砂礫王国」に似た、やはり、国を追われた王女の復讐ものです。ただ、あっさりと、話が恋愛の方に、流れてしまったのが、少し残念な感じ。
もう少し、復讐か愛か、王女の葛藤が欲しかったような気も。
「残酷な童話たち」は、暗いのに、なぜか心に残ります。恋愛に限定しない、哀しみなどを描いているのがいいのか?蝋人形の美しい少女達というのも、恐ろしいけれど美しさもある、この作者ならではの、独特のイメージだと思いますし。また素直に好感の持てるタイプの、ヒロインですし。
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