闇のパープル・アイ
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闇のパープル・アイ

篠原千絵

私は麻衣と暁生カップルの方が好きでした

2016年11月2日
倫子と慎也の悲恋カップルへの言及が、圧倒的なようですが。
しかし、私は娘の麻衣と暁生カップルの方に好感及び第二部の方が、救いがある内容で好きでした。私はどうも昔から慎也には、何かと甘さとか頼りなさを感じて、イライラとしてしまうことの方が多くて。確かに彼の倫子や麻衣への、深い愛情には感動させられる部分もあるのですが。しかし、曽根原先生なんて、どうして見逃してしまうんだよ、とても改心するような人ではないでしょうとか。そしたら、作者自身も、実は慎也はあまり好きではなかったらしいことを知り、納得かつ共感した覚えがあります。しかし、慎也の何かと甘過ぎる感じは、彼がそれだけ普通の家庭で愛されて育った、普通の少年ってことなんでしょうが。
その点、小田切や暁生は変身人間というその出自から、苦労している分、鍛えられているんだと思いますが。そして暁生は強引さと優しさのバランスが、絶妙ではないかと感じました。
小田切のように、強引なだけでも、慎也のように優しいだけでもなく。
ちゃんと麻衣が嫌がったら、襲うのも途中で止めてくれるし。(笑)。
それから私は倫子にも、あまり魅力を感じませんでした。
何か慎也に守ってもらうのが当たり前みたいな、受け身な感じが。
いざとなったら、慎也や小田切頼みみたいな。
小田切のことも、さんざん拒否していたのに、いざとなったら、あなたの子を助けるために力を借してとか、現金だなとか。結果的に、過酷な運命に飲み込まれてしまった感じの、倫子と慎也に比べると、運命を変える強さとか、逞しさを感じる点でも、麻衣と暁生のカップルの方に、私は大変に好感が持てました。第二部の最後も、いい意味で、予想を裏切る、素晴らしい、彼らの結末だったと思いますし。それから私はこの作者自身は、実際には、曽根原先生のような悪女が好きなんだと思います。例えば、あれだけ、さんざん悪いことをしたナキアが、死刑にならないままですしね。それに助命されたからといって、とても改心したり、カイルやユーリに、感謝するような性格ではないと思うし。そして私はこのナキアへの、大変な作者の思い入れの強さから、この作者は善人ヒロイン達よりも、やはりこういう悪女の方が好きなんだなと確信しましたから。ついに、歴史上では悪女とされている、スレイマン一世皇后ロクセラーナを主人公にした漫画も描いているようだし、何をか言わんやですね。
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