蒼の封印
」のレビュー

蒼の封印

篠原千絵

可愛いだけで鬼の長たる威厳がないヒロイン

2016年11月4日
やはり、この作者はヒロインとヒーローが、あまり魅力的ではないことが、しばしばありますね。しかも、総じて受け身な女の子が多いような。
この蒼子も、最後までとても鬼の長たる、カリスマ性や統率力やパワーなどを、感じることができませんでした。最後まで、一体どうしたら、愛する彬と幸せになれるのか?という、自分の恋愛ばかりで頭が一杯という感じだし。そしてその自分の恋の成就のついでに、鬼と人との共存も考える、みたいな感じで。また、特に自分が鬼でなくなるからと、彬と同じ一族の男性に抱かれようとする、あまりに彼女の安易かつ近視眼的判断には、拒否反応を起こしてしまいました。あまりにも主体性に欠け、流されやす過ぎるような。
いろいろと葛藤しながらも、何とか彬と結ばれる、他の方法を模索する姿勢が欲しかった感じですね。また、何かいまいち、彬の方も、パッとしない感じというか。
私はあまり魅力が感じられない主人公カップル達より、よほど高雄とか緋子などの脇役の方が、魅力的だったと思います。これも篠原千絵作品の、特徴ですが。
特に実は高雄は昔蒼子とという過去を知ってからは、何か彼の深くてとても切ない愛の形の方に、よほど心を動かされる部分がありました。
この作者の作品は、総じて脇役、特にこういう片思い的ポジションの男性キャラの方が魅力的ですね。この高雄然り、小田切然り。そして何だかんだいっても、結局は蒼子と彬が無事結ばれるのも、完全に予定調和的で全然、興味をかき立てられなかったですし。
また話自体も、いまいち、奥行きや広がりに、欠けているような気がしました。
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